研修設計のススメ

その研修、本当に効果が出ていますか?
自治体では、階層別・テーマ別に多くの研修が実施されています。人事課に異動してきたばかりの方にとっては、
・「まずは前例どおりに回す」
・「大きなトラブルなく実施する」
それだけでも、正直大変だと思います。その前提に立ったうえで、少しだけ立ち止まって考えてみてください。その研修について、効果をきちんと説明できるでしょうか。
自治体における研修は、組織の能力を維持・向上させ、最終的には住民サービスの質を高めるための重要な投資です。研修担当者には、研修を「実施すること」だけでなくどのような成果につながったのかを意識する視点が求められます。
多くの研修が陥りがちな状況
たとえば、次のようなケースは決して珍しくありません。
・実施後は満足度アンケートを取って終わり
・「参考になった」「良かった」という感想で評価している
・研修後、現場で何が変わったのかまでは追えていない
一方、受講者側に目を向けると、こんな声も聞こえてきます。
・とりあえず受講するように言われたので出席している
・業務を抜けて参加することで、本人も職場も負担を感じている
・内容は理解できたが、現場で活かす余裕がない
これは、担当者個人の努力不足というより、研修が「受けて終わり」になりやすい構造によるものです。
研修は「受けただけ」では成果につながらない
正直に言えば、研修を受講しただけでスキルが身につくことは、ほぼありません。本来、学びが成果につながるには、
学習 → 内省 → 実践 → 評価・フィードバック → 再学習
というサイクルが必要です。研修は、このサイクルの入口にすぎません。
効果を生む研修に近づける3つのポイント
① 能動的な学習プロセスを組み込む
研修の目的は、知識を増やすことではありません。受講者が職場に持ち帰り、行動を変え、周囲に良い影響を与えることです。そのためには、研修内での「インプット」を意識的に「アウトプット」に転換する仕組みが必要です。
・聞く
・考える
・周囲と対話する
・気づきを整理する
・持ち帰る
といったプロセスを研修の中に組み込むことで、受講者の主体性は大きく変わります。
実際、アンケートでも「ペアワークや講師との対話によって主体的に参加できた」という声が多く見られます。
② 実践できる内容であること
知識や考え方だけを学ぶ研修では、行動にはつながりにくいのが実情です。
・実務でどう使うのか
・明日から何を変えられるのか
を、受講者自身が具体的にイメージできる設計が求められます。
研修終了時に、「明日からの具体的な行動変容目標」を受講者自身に整理させ、上司への報告プロセスと連携させるといった設計も有効です。
③「なぜ自分が参加するのか」を本人が理解している
「決まっているから参加する」研修では、効果は限定的です。
研修開始前に、
・この研修が自分の職務上の役割とどう関係するのか
・今直面している課題にどう貢献するのか
を明確に示し、理解を促すことが重要です。
また、研修参加を個人の育成計画の一部として位置づけるため、事前・事後の上司との対話を促進する仕組みづくりも効果を高めます。
研修のゴールは「実施」ではない
研修は、実施して終わりではありません。現場を少しでも良くすること、組織を前に進めることが本来の目的です。最初から完璧な研修を設計する必要はありません。
ですが、「この研修で、何が変われば成功と言えるのか」を一度考えてみるだけでも、次の一手は変わってきます。







