地方自治体における昇任試験の現状

昇任試験の実施状況

全国の地方自治体の数は約1,700です。職員の採用試験はすべての地方自治体で実施されていますが、中には係長や課長になるための昇任試験の制度がある地方自治体も多数あります。人口規模の大きい自治体で、より試験による選考を実施する傾向にありますが、人口・職員数の多寡や地域性の違いによらず、全国的に実施団体は分布しています。

昇任試験制度導入のメリット

様変わりしていく昇任試験制度

試験を受けるのが好きだという人は少ないでしょう。しかし、地方自治体で実施されている試験は、職員にとってチャレンジするに値する制度です。
まず、昇任試験は公平公正です。資格要件を満たす人であれば誰でも受験でき、同じ基準で判断されます。
昇任試験の勉強で学んだ知識はその後の仕事で必ず役に立つでしょう。受験する方は自分の時間とお金を使って真剣に勉強をするわけですから、しっかりと知識が定着します。また、勉強会などの仲間も役所生活の貴重なネットワークとなることでしょう。

また自らの意思で受験申込みをすることは、係長・課長の仕事に挑戦したいという覚悟と意思表示でもあります。組織としての地方自治体から見ると、そうした意欲ある職員に機会を与え、さらに試験に向けた学習をとおして人材を育てることになります。

試験科目・内容は?

「女性上司とのコミュニケーション」もテーマに

試験科目は、地方自治法、地方公務員法、憲法、行政法、民法、人事管理、組織管理、事例式行政判断、時事、市政知識、論文、面接など多様です。出題される科目や問題数は地方自治体によって様々ですが、地方自治法や地方公務員法、事例式行政判断、時事、論文、面接が課されることが比較的に多いようです。
法律科目のレベルが気になる人もいるでしょうが、管理監督職を目指す人に求められる法律知識の範囲で基礎的な理解を問うものが出題されます。人事課や文書課・法務課など担当課レベルの知識が求められることはありません。
また、地方自治体の事業推進を担う管理監督職としてきちんとその知識を備えているかも重要視されています。その地方自治体が行う政策の基本的な理念や目標、方針について、総合計画基本構想や施政方針、リーディングプロジェクトの実施計画などを範囲として問うケースが多いようです。
近年は、択一や記述で知識を問う問題の他に、人物重視の観点から、論文試験や面接試験の結果を重視する実施自治体も増えています。また論文試験の実施では、文字数を800~1200文字、回答時間を60~90分として「しっかり書かせる」出題となっており、受験者はきちんとした対策が不可欠になってきています。

時代に即した試験制度へ

試験実施団体からは最近、「責任が重いと言って、昇任試験を受けたがらない職員もいる」「受験者人数が減ってきている」との声もあがるようです。一方、こうした課題への対策として、受験資格を広げるだとか、主任・係長級の昇任機会と出産・子育ての時期が重なりやすいことから、受験を1次・2次に分け段階的にし、複数年度の受験を可能とするなど、多様な工夫もされています。
公職研には、多くの地方自治体の担当者とやりとりするなかで見聞きしてきたリアルな課題の知見があります。この蓄積を生かし、出版などの弊社事業をとおして、時代に即した試験制度の提案や支援を行って参ります。