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1月8日、「津久井やまゆり園」事件の初公判が行われました。この事件の起こった1年後、小誌では「相模原障害者殺傷事件を考える」という特集を組みました。この特集に合わせて掲載した、あるイベントの取材記事を転載します。ご自由にプリントアウトしていただき、事件とその影響、知的障害者と家族の生活をめぐる問題を考える一つの材料としてご利用ください。

以下、月刊『地方自治職員研修』2017年8月号より。

2017年8月号「Forum通信」より

Forum通信

津久井やまゆり園事件を考える相模原集会

2017.5.27
於:相模原市産業会館(相模原市)


 2016年7月26日の事件発生から10か月と1日経った今年5月27日、相模原市で津久井やまゆり園事件を考える集会が開かれ、障害当事者や支援者、やまゆり園入所者家族などが参集した。
 集会ではまず、参加者が持参した花を献じ、亡くなった19名の被害者に対して黙祷を行った。

■障害者の生活の場
 集会関係者の発言に続いて、岡部耕典・早稲田大学教授が講演を行った。岡部教授は、重度知的障害を持った、自身の息子の将来を考えて、現在24歳の息子が小学生の時からヘルパーを付け準備をしてきたこと、現在は重度訪問介護を受け地域で自立して生活できるようになったことを、実際に支援を受けながら生活している様子を記録した映像も交えて紹介した。
 次に、津久井やまゆり園家族会の前会長である尾野剛志氏が登壇。事件について、事件を受けた県・国の対応について、そして家族が考える理想の施設について語った。尾野氏は、「やまゆり園の再生構想を検討する審議会の専門部会に施設利用者の家族が呼ばれたのは、 ようやく7回目の会議のこと。『入所していた135名を4年後にあそこに戻してほしい』と伝えたが、8月にどのような報告が出るか非常に不安だ。やまゆり園の入所者は毎日、毎時言うことが変わる。そういう人に、どのようにして意思確認するのか。入所者・家族にとって、やまゆり園が家であり、園のあった千木良がふるさと。地域の人も園に戻ってきてほしいと言っている。その関係を壊さないでほしい」と訴えた。

■自分の地域を変えていくしかない
 その後、参加者を交えて意見交換を行った。「私も園の家族会に属しているが、やまゆり園に戻るつもりはない。 新しい生活の場があり、入所者も職員もそう考える人が多いのではないか」「入所施設で職員として働いていたときに施設改革に取り組んだが限界を感じ、いまはNPOでGH(グループホーム)の運営をしている。最初は受け入れてくれる地域がなかったが、まちを変える・まちを耕す努力をしてきた」「相模原で支援活動している。津久井やまゆり園ができた当初は、皆あそこには入りたくないと言っていたのが、建替えてから希望者が増えて、順番待ちとなっていた。そして今は、市から家賃補助が出るようになり、多くの人がGHを希望している。相模原の人はこの地域を変えていくしかない。どんどんGHをつくっていかなければ」「ここには様々な参加者がおり、フラットに答えを共有する必要はない。必要なのは問いを共有し、多様なアプローチでそれぞれが模索していくことだ」と、様々な立場からの発言があった。
 岡部教授は、「2014年の制度改正で施設から出られる人が増えたが、地域移行はGHがすべてではない。私の息子のような選択もある。知らないことを決めることはできないので、親がリアリティを持てるような選択肢を示すことが大切だ。関係者がわがこととして考えて、手を出し、自分と一緒に施設を出ようと呼びかけよう」と語った。
 事件のあった7月26日には、 男女共同参画センター・横浜(JR戸塚駅すぐ)で「津久井やまゆり園事件を考える神奈川集会」が開かれる(編注:当該イベントは終了しています)。
(文責: 編集部)

 

写真キャプション:事件の被害者に見立てて、会場前方には性別・年齢のみ書かれた19の「碑」が建てられた。真ん中で話すのが尾野氏

 

*こちらの文章は、当時の掲載記事をそのまま引用したものです。